「行人ちゃんの家にお泊まりなんだから、パンツは新しいの持って行くのよ〜」

今日は行人がい〜っぱいお魚を釣ったからってすず姉ぇの家にお呼ばれされちゃった!。
せっかくだからお泊まりしたら?ってすず姉ぇが言ってくれるからワクワクお泊まり会♪決定!

だからご飯の前に着替えを取りに帰ったら、またお母さんがいつもの調子でヘンなことを言ってるよ。

「なんで?」

「ププッ!、ゆきのはまだまだお子ちゃまね〜ホォッホホホ」

「ぅおおお子ちゃまって言うな!!!」

もうお母さんは放っとこ、それより今日は2人と夜更かししていっぱい遊ぶから、剣玉・すごろく・お手玉に福笑い。
2人が喜びそうなおもちゃを持って、いざ!しゅっぱーつ!。

クマクマに送ってもらってあっという間に、ハイ着いた!

「寄り道しないで、気をつけて帰るのよ!」

食いしん坊ですぐ寄り道をするクマクマに姉として注意を言っといた、お姉ちゃんも楽じゃないわぁ〜。

「来たよー!!」
「いらっしゃーい!ゆきの、早かったね」

「うん、クマクマに送って貰ったから……あれっ、行人は?」

「行人はお風呂掃除してるよ、もうすぐご飯出来るから上がって待ってて」

「私も手伝うよ!」

準備してると行人も来て3人で夕御飯の用意、私が包丁を持って得意な料理の腕前を見せていると行人がいつもみたいにまた失礼なことを言った。

「へぇ〜ゆきのは料理出来るんだ、まだ小さいのに凄いね」

「ちっさいって言うなぁぁ!!ホントに行人はれでぃに対して失礼なんだから」

「ゴメン…」

行人にお説教しながら料理は完成、ではいただきます!。

「おいしい〜すず姉ぇはやっぱり料理が上手だね!」

「ありがとう、ゆきのが作ったのもおいしいよ!。それにみんなで食べると楽しいね!」

「そうだね、いつもはすずと2人だから今日は一段と美味しく感じるよ」

「ぶぅ!!ぶぶぅー!」

「ゴメン、トンカツも居るから今日は4人だね」

たくさん有った料理も4人で話をしながら食べると笑ってる間に無くなって、ごちそうさまでした。

料理を作ったすず姉ぇにはゆっくり休んでもらって私と行人でお片付け、行人の手際の悪さに私が片付けの極意を教えて最後に台所をサッと拭き上げて片付けはおしまい。

お茶を飲みながら一休み、よく遊びに来てるすず姉ぇの家だけど何故か今日は見慣れてるはずの風景が少し違って見えるのは何でだろ?夜だからかな?。

「でもゆきのは本当に家事が得意なんだね、正直そのスキルの高さにびっくりしたよ」

「……すきる?ねぇ行人、すきるって何?」

「あぁゴメン、スキルって言うのは技能、つまり訓練や練習をして経験で身に付く技術のことだよ」
「へぇ〜」

「料理も失敗を繰り返しながら作ってるうちにコツを掴むだろ?そのコツをスキルって言うんだ」

「なるほど、行人ってちがけと同じくらい物知りなんだぁ」

「そうでしょ!行人は何でも知ってるし、優しくて頼れるんだよ」

「止めてよ、すず。照れくさいし、僕の知識なんて島では殆ど役に立たないんだから」

「そんなこと無いよ、行人は…」

行人のことを話してるすず姉ぇを見て、前に遊びに来てた時と違う所が分かった。
すず姉ぇは笑ってる、前もよく笑うすず姉ぇだったけど今日は本当に楽しそうに笑ってる。

やっぱりすず姉ぇは1人で寂しがったんだろうなぁ、でも行人が来たからあんなに楽しそうに笑ってるんだ。

「ねえ、行人」
「何?ゆきの」

「もっと、島の外の話しをしてよ」

「じゃあ、その前に私と一緒にお風呂に入ろうか」
「うん!すず姉ぇとお風呂に入るの久しぶりだね」

着替えを持ってお風呂に行こうとしても行人はそっぽを向いてお茶を飲んでる、何してるんだろ?

「早くしなよ行人、お風呂に入るよ」

「いいえ、入りません!」

「何で?お風呂に入らないと汚いよ」

「あのね、ゆきの。行人はいくら言っても一緒にお風呂は入ってくれないんだよ」

「何で?いくと〜、ゆきのと一緒に入ろ〜よ〜」

いくら言っても行人は『ダメ!』と『無理!』を繰り返すだけ、結局すず姉ぇと2人だけで入った。


「………なに?ゆきの」
「なっ、何でも無いよ!!」

思わずじっ〜っと見ちゃう久しぶりのすず姉ぇの胸はまた大きくなってるよ………すず姉ぇ、いったい何をしたらそんなに大きくなるの?

私だってこれから胸も身長も大きく成長して『ないすばでぃ』になるんだから!………でもお母さん見てる限りじゃ無理だろなぁ。

身体を拭く間も縦や横に暴れるすず姉ぇの胸と自分のを見比べて悲しくなった。

一応お母さんに言われた通りに新しいパンツを履いてお風呂場から出ると、行人が水を汲んで待っててくれた。

「ふぅ、おいしかった。ありがとう行人」

「どういたしまして」

すず姉ぇの身体をお風呂に浸かって見てたから、体はお水を飲んでもポカポカのまま
熱いから寝間着の帯を緩めると前がはだけて涼しくはなったけど、それを見ていた行人は真っ赤になって背を向ける……私はやれば出来る子?。

「……い・く・と!ゆきのにヨクジョウしてるでしょ?」

「そんな言葉ドコで覚えて来たぁー!!!!」
「ほら、いくとぉ〜」

「にゃあぁぁ!!!ゆきのぉー!ダメェ〜!!!!!!」

行人に近付こうとした所までは覚えてる、でも次に気づいた時には行人は消えていた。
多分これが前にあやねが言ってた、すず姉ぇに締め落とされるとゆうヤツだろう。

「気がついた?ごめんね、ゆきの……大丈夫?」

「…うん、大丈夫。……行人は?」

「行人はお風呂に入ってる。本当にごめんね、つい力が入っちゃって…」

やっぱりそうだ……私、すず姉ぇに締め落とさたんだ、もうすず姉ぇの前で行人に近付くのは止めよ。

でも一つだけ気になるから聞いとこ。

「ねえ、すず姉ぇはやっぱり行人のお嫁さんになるの?」

「おっ、お嫁さん?!」

「うん、お嫁さん。だってゆきのがちょっと行人に近付こうとしただけですっごいヤキモチ妬いてるし」

「ホッ!ホニャァ……どっ、どうかなぁ……それを決めるのは行人だし」

もう止めとこ、すず姉ぇは真っ赤になって自分を失いかけてる。
このまま続けるのは危険、自然の中で動物たちと遊んで身に付けた野生の感がこの話しは止めろと言っている、また締め落とされるぞって。

「あぁ、いいお湯だった」

救いの神様はトンカツを頭に乗せて湯気を上げながら現れた、これで話を替えられる。

「行人ー!はい、お水!」「ありがとう、ゆきの」

お水を渡す瞬間に気がついた!また私は行人に近付いてる、そぉーっとすず姉ぇを見るとニコニコと笑っている。

良かったぁ、大丈夫だった……でもどんな風に行人に近づいたらさっきみたいになるんだろ?難しいなぁ…。

「少し縁側で涼もうか」

すず姉ぇに連れられて4人で縁側で夕涼み、家とは違って海の方から吹いて来る潮風が涼しくて気持ちいい。

それから行人に島の外の話をして貰った。

「テレビってどんなの?ちかげは絵が動くって言ってたけど、紙芝居が勝手に動いてるの?」

「ちょっと違うかな、テレビはお芝居や風景、料理をする人や歌ってる人が箱の中で鏡に映るみたいに動いてるんだよ」

「う〜ん……よく分かんない」
「ゴメン、説明がヘタで………そうだ!」

部屋に戻って箪笥をがさごそ漁りだした行人は小さな箱を持って来た。

「ちょっと待ってね、まだバッテリーは残ってたと思うから……」

パカッと開いた箱の一カ所を少し押してると凄くびっくりなことが!行人の持ってる箱が光り出した!!。

「何それ!?」

「ちょっと待ってね………ヨシ!大丈夫だ。すず、ゆきの、これを見て」

光る箱をすず姉ぇと一緒に覗き込むと、箱の中に女の子が居て私たちに向かって話し掛けてるよ〜!!!!

「エッ???誰なの!?それに写真が動いてこっち向いて話してるよ!!」

さっき行人が鏡に映るみたいにって言ってたから周りを見るけど誰も居ないしその間も女の子はずっと話してる、もしかして………幽霊?

「あれ?……この子は…美咲ちゃんじゃない?」
「すず姉ぇこの子知ってるの?」
「うん、これ美咲ちゃんだよね行人?」

「そうだよ、これは妹の美咲。これを買った時にオモシロがって勝手に撮ったんだよ」

「じゃあ、これがテレビ?」

「うん、テレビはこんなのが一日中映ってるんだ、でもこれは携帯電話って言って少し違う物なんだけどね」

すごいなぁ島の外って、私も一回くらい行ってみたいなぁ…。

「じゃあ、2人で何か動きながら話してみて」

そう言うと行人は箱の裏側を見せて動かなくなった、よく分からないけどすず姉ぇと手をつないで歌ってみた。

「ハイ!もう良いよ、じゃあコレ見て」

「うわぁ!私とすず姉ぇだ!!」

テレビの中には2人が居るよ、それに歌も一緒に歌ってる、やっぱり行人はすごいんだなぁ。

「でも行人、最初にこれを見せてくれた時は私にこんなこと出来るって教えてくれなかった!」

「ごめんね、すず。あの頃はまだ帰りたいと思ってたから万が一の為に取ってたんだ、ごめん」

「あの頃はって……じゃあ…今は……」

「今は藍蘭島が大好きだよ!」

「じゃあ、今日はおもいっきり夜更かしして遊ぼうー!」

その夜は眠くなるまでおもいっきり遊んで3人で川の字になって布団に入った。

誰も知らない秘密のおいしい物をクマクマたちテレビで島のみんなに教える夢を見た、みんながテレビを見てびっくりする楽しくて愉快な夢。

  ◇◆◇
◇◇◆◇
 ◇  ◆

「……行人、起きてる?」
「眠れないの?すず」

「……うん、行人はやっぱり美咲ちゃんに会いたいのかなぁと思って…」

「妹だからね、会いたいかな」

「そっか…」

「でもさ、すず……こんな風に3人で寝てると本物の家族みたいと思わない?ゆきのが………僕とすずの……子供みたいでさ」

「…家族?……そうだね!家族みたいだね……おやすみなさい、行人」

「おやすみ、すず」

朝になって目を覚ますとといつの間にか行人とすず姉ぇは私を見守るように寄り添って手を取り逢っていた。

私も子供じゃないんだし、2人の話しは聞かなかったことにしてあげるか。

 △ ▲△ ▽▼▲△


「昨日はありがとう、すごく楽しかったよ」

「うん、また来てね」
「ゆきのだったらいつでも大歓迎だからさ」


「うん!じゃあね…………お父さん!お母さん!」

「えっ!!」「にゃっ?!」


やっぱり私はまだ子供なのかなぁ……。


「ただいま〜」
「おかえりなさ〜い、どうだった?昨日の夜は」

「3人で手をつないで寝たよ!」
「プッ!やっぱりゆきのはお子ちゃまねぇ〜」


「お子ちゃまって言うなぁ〜!!」


―END