藍蘭女子学園。
評判はそこそこで、活発な生徒が多いことが売りである。
今回の話は一人の新米教師が学園にやってくるところから始まる・・・

始業式の前日新米教師、東方院行人は校長室に呼び出された。
校長室のイスには理事長兼校長のこと(通称オババ先生)がすわっている。
「婿・・・じゃなくて東方院先生。君には3年I(アイ)組を担当してもらう。」
しょっぱなから台詞をまちがえていたが、行人はツッコまないことにした。
「はあ・・・でもI組は問題児があつまってると聞いたのですが僕みたいな新米で大丈夫なんですか?」
「タマナシじゃから平気じゃろ。」
「どういう意味っスかそれ・・・」
「おまえはここで女を知るといい。どうせ彼女いない歴14年じゃろ?」
「いや実年齢出さないでくださいよ!仮にも教師って設定なんですから。」
そんないい加減な理由だったが承諾し行人は校長室をあとにした。

そして翌日、始業式が終わり教室でHRをする時間となった。行人は教室の引き戸の前にいた。
「・・・よし、行くか!」
行人は引き戸をあけた。すると上から黒板消し
・・・ではなく人が落ちてきて行人は押し潰されてしまった。
「うふふ、おはよ先生。」
声の主は不思議系少女、まちである。
行人は鼻血を出しながらたずねた。
「えーと、気付かなかった僕もアレだけど・・・どうやって待ってたの?」
「それは聞かないお・約・束。」
そんな会話をしていると、今度は二人の声がきこえた。
「ちょっとお姉様。朝っぱらから何してんのよ!」
「先生のびちゃってるよ。」
一人はクラス一の目立ちたがり屋のあやね。
もう一人はクラス一の天然少女のすずである。
「ごめん、教壇に・・立たせて・・くれ・・。」
この時点ですでに死にそうな行人であった。

ようやく行人は教壇に立ってHRを始めた。
「えー皆さん始めまして。今日からこのクラスの担任を任されました東方院行人です!
 新米ですがよろしく!さっそくだけど出席とります。まずはあやね。」
「はいはーい!」
「おっ、元気だね。」
「そりゃあもう。私はクラス一可憐で淑やかな美少女ですもの〜。」
そんな台詞を言った直後あやねはまちの式神にボコボコにされた。
「ちょっとォ!あやね大丈夫か!?」
「大丈夫だよ。だってあやねだもん。」
「いやいやいやそういう問題か!?まあいいや。次しのぶ。」
しかし席にしのぶの姿はない。
『あれ、遅刻か?』
と思った直後、
「はーい!いるでござるー!!」
という声と共に引き戸ごと前にたおれてきた少女がいた。
「いたた・・・教室に入ろうとしたらずっこけてしまったでござる〜。」
「どんなずっこけ方したらそんなんなるんだ!?てゆーか完全に遅刻だよ!!」
「う〜、今度は2時に出るでござる。」
「しのぶちゃん方向音痴だからね〜。」
「もうそれ方向音痴とかそういうレベルじゃないよ!次すず。」
「あ、はい。」
とここであやねが復活する。
「先生。一つ言っとくけどすずは豆大福がからむと人がかわるから気をつけてね。」
「うにゃ。そんなことないよ〜。」
そういうすずの机には豆大福がのっている。
「わかった。とりあえずわかった。次ちかげ。」
「はいですの。」
クラス一の優等生ちかげ。クラスの学級委員でもある。
「この学園でわからないことがあれば私にいつでもどうぞですの。」
「ああ、よろしく。」
この時ちかげが怪しい笑みをしたことは誰も気付かなかった。

「次は、まち。」
「・・・・・。」
返事がない。
「おーい、お姉様ー?」
あやねが調べる。
「・・・目開けたまま寝てるわね、こりゃ。」
「はあ・・・次みこと。」
「はいはい。」
返事をしたあともみことは続けた。
「まあ、ほなよろしくたのむわ。ただしりん姉様に手出したらただじゃおかんぞコラ!!」
『コラ!?仮にも教師にむかってコラっていうか!?』
と思ったがその時りんの机から木槌が飛んできてみことに命中したのでツッコまないことにした。
「えー次は梅・・・」
と言いかけたその時、
「待ってください!私をぬかしてます!!」
声の主はみちるだった。
行人はあわてて名簿を見直した。
「あっ、ホントだごめん。ではみきる。」
「いやみちるです。ぬかした上に名前間違えないでくださいよ。なにげかっこ良さげですけど。」
行人は続けた。
「はい次、梅梅。」
「はいデスヨ。」
しかし声はしても姿がみえない。
「あれ・・・どこにいるの?」
「ここデスヨ〜。」
すると机の横にあるバックからにょっと顔を出した。
「エスパー○東かキミは!?てゆーかどうやって入ったの!?」
「ごめんなさいデスネ・・・。」
「梅梅恥ずかしがり屋さんだもんね。」
クラス一のおませさんゆきのが言う。
「・・・えーとゆきの?キミは何してんの?」
「何ってお化粧よ。」
ゆきのの顔はなんかすごいことになっていた。(想像にお任せします。)
とりあえず行人はスルーした。
「んじゃあ最後、りん。」
「うっす。」
クラス一のないすばでぃのりん。女子にモテモテである。
『みことが手出すなというのもわかる気がするな・・・』
と思った矢先いつの間にかりんの背後にまわっていたみことがりんの胸を揉みはじめた。
行人は本日2回目の鼻血を出した。
「コラみこと!!いっつもやめろって言ってんだろ!!」
「せやかて時代はきゅっきゅっぼんよりぼんっきゅっぼんやないか〜。」
みことがそう言うと、
「誰がきゅっきゅっぼんだコラァ−−−っ!!!」
となぜかあやねがキレ出した。
するとクラスはもめにもめた。いろんな意味で。
『マズイぞ・・・早くも学級崩壊!?』
と行人が思ったその時

キーンコーンカーンコーン・・・チャイムが鳴った。

『くそ、結局出席とるだけで終わっちゃたよ・・・。けど最後のシメは・・・。』
「先生〜。」
すずが言う。
「今日お祭があるからみんな帰っちゃたよ。」
教室を見渡すと行人とすず以外誰もいなかった。
「僕ってこういうの才能ないのかなぁ・・・」
行人がおちこんでいるとすずがこう言った。
「先生、まだ始まったばかりだよ。それにみんないい人たちだし。お互いがんばろう!」
「・・・そうだね。ありがとうすず。」
『そうだよ!こんなことでおちこんでどうする!!』
新米教師、行人はすこしついたのだった。

しかし外から見ていたオババ先生は、
「フフ・・まだまだこれからじゃよ、東方院先生。」
と不敵な笑みをこぼしていた。

ー完ー