あねぶって


予告編
行人はオババの家に呼ばれていた。
「それにしても…何の用だろう?」
行人は庭に生える椰子の木を眺めながらつぶやく。
「おお婿殿、待たせてしまったな」
そこにオババが現れた。
「何かご用ですか?」
行人はオババから茶を受け取りながら聞いた。
「そういえば…みちるさんは?」
「ああみちるか…今は弓の手入れじゃ」
オババはそう言うと行人に本題を切り出した。
「で、おぬしは年上の…まちやらあやねやらりんやらには興味はないのか?」


本編
「ない、ですね」
「ふう…婿殿のタマなしぶりも相変わらずじゃのう」
「あやつらなら婿殿に手取り足取り子作りを教えてやれると思うたのだがな…」
行人は茶を噴き出した。
「子作り子作りって…!ボクはまだ…」
「その事についてじゃ」
「ワシは、婿殿がタマなしであると思うておった」
「じゃがな、こうも考えられる…婿殿は、まだ子供なのではないか、とな」
「はい…?」
「気にするな、手は打っておる」
オババは言うと、行人の茶の中に黒い粉末を入れた。
「ちと待ってもらうぞ」
オババは部屋に入っていった。

一方のみちるは布団の上で寝転がっていた。
「オババ様、行人クンの様子はどうですか?」
「茶も飲んだようじゃ、あとはおぬしがなぜおなごに興味がないのか探り出すだけ…じゃよ」
「ところでオババ様は?」
「ワシは南に用があるでな、一晩空けるやも知れぬ」
「一人では初仕事ですからね…私も頑張ります」

二十分後。
オババを見送ったみちるはおもむろに立ち上がった。
「さて、薬も効いたころですかね…自白剤も、もう一つの方も」
みちるは行人の待つ縁側に向かった。
「行人クン…ふふふ、二人で何して遊びましょうか?」