「ふぅ、いいお湯ね…一日の疲れが一気に取れていくわ」
「掃除サボったのに疲れも何もないでしょ」
月が綺麗なある日の夜、まちとあやねは一緒に風呂に入っていた。
まちは湯船に浸かり、あやねは体を洗っている。
「お風呂と言えば…最近、行人様が鼻血を噴かなくなったらしいわね」
「そりゃあ一緒にお風呂入る事よりすごい事してるし、さすがに慣れたんじゃない?」
あやねがそう言うとまちの眉毛がピクッと動いた。
「どういう事?」
「何が?」
「一緒にお風呂入る事よりすごい事って何!?」
まちは浴槽から身を乗り出してあやねに迫った。
「こ、子作りよ」
「何ですってぇ!?」
「お姉様、知らなかったの?…って知ってたら行人様にとっくに迫ってるわね」
「だ、誰と!?行人様は誰としたの!?」
まちはさらに身を乗り出し、あやねの肩を掴んだ。
「え、ええと、すずの話だとしのぶ、みちる、梅梅、あとすず本人と…私ね」
「なっ、あなたも?」
「ええ…行人様、すごかったわぁ…」
「そ、そんな…」
まちはあやねの肩から手を離すと、フラっとよろめいた。

「お、お姉様?」
あやねが声をかけるがそれにも反応せず、まちはゆっくり歩きながら風呂場を出ていった。
「どうしたのかしら…ま、お姉様の事だから明日にでも行人様に…ってよく考えたら言わなきゃよかったわね…」
あやねは舌打ちをすると指をパチンと鳴らした。

そんなまちとあやねのやり取りのあった日から三日後、行人は家である事について考えていた。
「僕、まちに何かしたのかな…」
行人が考えていた事はまちについての事だった。
この三日間、行人はまちに避けられまくっていた。
行人が声をかけたりまちの存在に気づいたりすると、まちはすぐに逃げるように立ち去るのである。
「…はぁ、考えてもしょうがないか。とにかく聞いてみないと…」
そう言うと行人は立ち上がった。

「着いた…」
行人は海龍神社の石段の前に立っていた。
(まちがダメでもここならあやねかちづるさんがいる可能性があるし、あの二人なら何か知ってるかもしれない)
行人は石段を登り、鳥居の所まで行くとあやねが掃除をしていた。
「あ、あやね」
「あら、行人様!私に会いに来てくれたの?」
そう言うとあやねは箒を持って行人に近づいてきた。

「欲求不満ならいつでも私が…」
「いや、違うから」
そう言って行人は服を脱ごうとするあやねの手を止める。
「ちょっとまちについて聞きたい事があって来たんだけど…」
「え?」
「僕には心当たりがないんだけど何か最近まちに避けられてるみたいでさ、あやねは何か知らない?」
行人がそう聞くと、あやねはしばらく考えた後、行人から目を逸らした。
「あやね?…もしかして何か知ってるの?」
「ええと…まぁ、ね…」
あやねは三日前のまちとの風呂場での会話の内容を行人に話した。
そしてあやねが話し終えると行人はがっくりと頭を下げた。
「い、行人様!?」
「やっぱり…僕のした事が根本的な原因みたいだね…はぁ…」
「う〜ん、それにしてもお姉様の事だからすぐに行人様に迫ると思ったんだけど…」
「た、確かに…まちならありえるかも」
行人は不謹慎ながらもあやねの意見は最もだと思った。
「そうだ、お姉様なら今自分の部屋にいると思うから直接聞いてみたら?」
「直接?」
「ええ、部屋なら逃げないかもしれないし、本人に聞くのがやっぱり一番いいと思うわ」
行人は少しの間考えると首を縦に振った。

行人はしのび足でまちの部屋の前まで来ていた。
(まち、いるかな…とにかく一言、ちゃんと謝らないと…元はと言えば僕が悪いんだし)
行人はそっと静かにほんの少しだけ障子を開く。
箒がたくさん置いてある部屋の中央にはまちがちょこんと座っていた。
まちの存在を確認した行人は意を決して障子を開けて中に入った。
「まち…」
行人が呼びかけるとまちはピクッと反応した。
「行人…様?」
まちは振り返って行人の姿を確認すると立ち上がって少し後ずさる。
「あの…まち、最近僕の事避けてるよね?」
まちはうつむいて黙り込むが、行人の言葉を否定しなかった。
「やっぱり…その…あ、あやねから聞いた事が原因なの?」
行人がそう言うと再びまちはピクッと反応する。
そんなまちの様子を見た行人は自嘲気味に苦笑した。
「はは、そうだよね…こんな節操なし、呆れられても仕方ないよね…ごめん…」
そう言うと行人はまちに深々と頭を下げる。
「……行人様は謝る必要ないわ。悪いのは…私だもの」
「え?」
行人が顔を上げるとまちは行人に背を向けていた。
「行人様だって殿方だもの、仕方のない事よ…バカなのは私なのよ…」

そう言うまちの肩は微かに震えていた。
「何も知らずにいい気になって行人様に付きまとって…こんな年増が若い子に敵うはずないのに…」
次第にまちは肩を震わせるだけでなく、涙声になっていった。
「行人様もっ…若い子と付き合う方がいいもの…ね…もう付きまとわない…から…」
「何で…そんな…いつものまちらしくないよ」
「だって…行人様、若い子とばかり…してるから…こんなおばさん…」
そこまで言うとまちは口を閉じ、嗚咽をあげるだけだった。
すると行人はまちに近づき、彼女をそっと抱きしめた。
「いく…と…さま?」
「やっぱり…まちらしくないよ。まちは元気で積極的じゃないと…」
「でも…こんな…」
「まちは十分若いし…か、可愛いし、魅力的だし…だ、大体何でいつもと違ってそんなに否定的なの?」
言ってる内に恥ずかしくなってきた行人はまちに聞くと、彼女は視線を落として小さく口を開いた。
「だって…行人様…私としないのにあやねとするから…」
「え?」
「私があの子より劣っている部分なんて年しかないもの…だから…」
それを聞いた行人は理解した。
つまりまちは自分より年以外劣っているあやねが行人とした事を気にしていたのだ。

ただそれを理解した行人はまた苦笑した。
(あやねにもいっぱいいい所はあると思うんだけどなぁ…)
そんな事を考えていた行人にまちは顔を向けた。
「ねぇ、行人様…」
「え?あ、ああ、何?」
「さっきの言葉、本当?」
「さっきの言葉って…」
「私が可愛くて魅力的で…若いって…」
まちがそう言うと行人は顔を真っ赤にして彼女から顔を背けて答える。
「ほ、本当だよ。今も…ど、どきどきしてるし…」
現代日本の考えを持つ行人にとっては18歳のまちが若いと考えるのは当然の事だった。
答えを聞いたまちは少し照れくさそうに頬を染めて行人をじっと見つめる。
「行人様…私も、行人様と…繋がりたい」
「え?」
「ダメ…かしら?」
まちは不安げな表情になり、行人をそのまま見つめ続ける。
行人は顔を真っ赤にしたまま、まちの方に顔を向ける。
「…そんな顔でそんな事言われたら…我慢できないよ」
そう言うと行人はまちと唇を重ねた。
行人はまちと唇を重ねたまま彼女の胸を右手で優しく揉み始めた。
そして行人は舌を彼女の口内に侵入させようとしたが、逆にまちの方から舌を絡ませてきた。

「ん、ふぅ、はっ…」
「む、ちゅ、ん…」
まちは積極的に行人の舌と自分の舌を絡ませ、その口からは涎が垂れる。
舌を絡ませていく内にまちの瞳は潤み、吐息は熱を帯びていく。
行人は右手でまちの胸を揉んだまま、彼女の袴の帯を解く。
しゅるっと袴は床に落ち、行人は空いた左手でまちの太股をさする。
「ん、あっ…」
まちは行人にさすられていく内に内股になっていき、行人の左手は徐々に太股の付け根に近づいていく。
やがて左手が付け根まで来ると、行人は下着越しに人差し指でまちの秘所をゆっくり、深くなぞっていく。
「んぅぅぅっ!」
まちは強い刺激に腰をくねらせ、行人から唇を離す。
二人の間に唾液の糸が引き、まちはさらに瞳を潤ませて行人を見つめる。
「行人…様…んむっ」
行人は再びまちの唇を自分の唇で塞ぎ、彼女の胸を強弱をつけて揉む。
まちの胸は行人の手によって様々に形を変える。
行人は再び左手をまちの秘所に近づけていき、人差し指で彼女の膣口を下着越しに押す。
そして再び押すようにゆっくりと筋に沿ってなぞっていくと、まちの下着は湿り気を帯びていく。

「はっ、あぅっ…んんっ!」
すると行人は右手を胸から離し、左手をまちのお尻の方に移動させる。
「ん、あ …行人、様?」
まちが不思議そうに行人を見つめると、行人は左手でまちの下着をぐいっと引っ張った。
「んぅっ!?」
行人が下着を引っ張った事により秘所には下着がぴったり貼り付き、行人は右手を秘所に近づけていく。
そして行人は人差し指と中指で下着の上からまちのクリトリスに触れた。
「んぁぁっ!行人、様ぁ!」
まちは行人の腕をぎゅっと掴むが、それをどかそうとはしない。
行人はそのまま人差し指と中指でまちのクリトリスを弄る。
吸収しきれない愛液がポタポタと袴や床に垂れていく。
「んぅぅっ…行人、様っ!ん、はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
まちは大きく体を仰け反らせると、一気に脱力した。
行人は咄嗟にまちを抱きかかえた。
「まち、大丈夫?」
「はっ、あ…行人…様…」
行人はそのまままちを寝かせる。
「まち…僕、まちの中に…」
「ん…大歓迎よ、行人様…」
まちがそう言うと行人は彼女の下着を脱がせ、ズボンから肉棒を取り出し、まちの膣口に当てる。
「行くよ、まち…」
「ええ…」

まちの返事を聞くと行人はゆっくりとまちの中に自身を入れていく。
入れていく内にまちの顔が歪み、目からは涙が流れ始めた。
「い、痛いっ…うぅ…」
まちがそう言うと行人は動きを止めたが、すぐにまちはそれに反応する。
「と、止まらないで、行人様…」
「でも…」
「私なら…大丈夫よ。これくらい…だから…」
「…分かった」
行人はそう言うとまちと唇を重ねて再び中に進んで行く。
やがて先端が奥に届き、行人は一旦まちから唇を離した。
「全部、入ったのね…行人様と…一つに…」
「まち…」
すると今度はまちが行人に顔を近づけて唇を重ねる。
「行人様、動いて…」
「え、でも…」
「私は、大丈夫だから…」
まちはそう言って行人に微笑んだ。
「分かった、じゃあ…動くよ」
行人がゆっくりと腰を動かし始めると、まちの表情が変わる。
「んぅ…ぐ…」
行人の腰の動きは次第に速くなっていき、それと同時にまちの吐息に再び甘いものが混ざり始める。
「はぁっ!んっ!いくとっ、さまぁ!」
「くっ、うっ!まちっ!」

行人に突かれる度にまちの嬌声と淫らな水音は大きくなっていく。
「はっ!まちっ!僕っ、そろそろ…」
「んぅっ!奥に…行人様っ!私の奥にっ!」
「くっ…うぁぁぁぁっ!」
まちがそう言うと行人はまちの奥に思いきり突っ込むと、彼女の中に熱いものを注ぎ込む。
「んはぁぁぁぁぁぁっ!」
まちは熱いものが注ぎ込まれると同時に絶頂を迎え、彼女の体からは力が抜けていった。
行人はまちから自身を抜こうとすると、まちが口を開いた。
「待って…行人…様…」
「え?」
「もう少しこのまま…行人様と繋がって…いたいの…」
まちが切なげにそう言うと、行人はまちの頭に手を乗せる。
そしてそのまま黙ってまちと唇を重ねた。

行人とまちは身なりを整えて並んで座っていた。
するとまちがとても残念そうにため息を吐いた。
「どうしたの?まだ何かあるの?」
「ちょっと…行人様の初めてを奪えなかったのが少し悔しくて…」
「初めてを奪うって…」
行人は苦笑を浮かべながら頬をかいてると、まちはお腹に手を当てた。
「でも…たとえ行人様が初めてじゃなくても…行人様と一つになれたのは、私にとってとても幸せな事よ」
まちはそう言って行人に向かってそっと微笑む。

「それと…ありがと、行人様…確かに否定的になるなんて私らしくなかったわ」
「まち…」
「それにしてもあやねったら…私を出し抜いて先に行人様とするなんて…」
まちは頬を膨らましてとても不満そうに呟いた。
「聞いた時はさすがにショックだったわ…あやね相手に凄まじい敗北感を味うなんて…」
「ははは…でも、あやねはあやねで年以外でまちよりすごい所はあると思うよ」
それを聞くとまちはすごい勢いで行人に近づいてきた。
「行人様!本当にそう思ってるの!?」
「う、うん…」
「な、何!?年以外で私が負けてる事って一体何なの!?」
「う〜ん、それはやっぱり…」

「ふわぁ…もう朝か…掃除しないと…」
あやねは欠伸をすると巫女服に着替え始めた。
「それにしてもお姉様、元気になったと思ったらあんな事言いだすなんて…」
あやねは昨日行人が帰った後のまちの言葉を思いだしていた。
『あやね、私はあなたには絶対に負けないわ』
「いつも私に勝ってるくせに…あれって嫌味なのかしら?」
(りーどしてる事って行人様とした事くらいだけど…あの様子じゃお姉様も行人様としたのね…はぁ、やっぱり言わなきゃ良かったわ…)

あやねは身なりを整えると、自分の部屋から出る。
するとまちが眠そうに目をこすりながら廊下を歩いてきた。
「あら、お姉様?珍しいわね、こんなに早いなんて…」
「掃除、やっといたから…」
「へ?」
「朝食、作ってくるわね…」
まちはそう言うとあやねの横を通り過ぎていった。
「箒を掃除に使う事をもったいないと言ったお姉様が…掃除?しかもこんな朝早くに?」
あやねは履物を履いていつも掃除している場所に向かうと、確かにそこは綺麗になっていた。
「本当にお姉様が?まさか箒を使ったのかしら…あら?」
あやねは先端に薄汚れた布をつけた棒を発見し、それを手に取った。
「これは…そっか、お姉様は箒の代わりにこれを使って…ん?この布どこかで…まさか…」
あやねは布を棒から外し、それを広げた。
「わ、私の…巫女服…」
昨日、行人がまちに言った事は『まちよりあやねの方が家事能力がすごい』と言う事だった。
それを聞いたまちは気合を入れて掃除をしようとしたが、箒を使うのがもったいないのであやねの巫女服で掃除をする事にしたのだ。
あやねは自分の巫女服を抱き、その場で泣き崩れた。
その日、まちは家事をやる度にあやねを泣かせたと言う。