ある晴れた日、みちるは散歩をしていた。
その日はさほど暑くもなく、長時間外出できるようになった事もあるので気分転換に、と言うのが理由である。
「ん〜…たまには外に出るのもいいかもしれませんね〜」
みちるが背筋を伸ばしながらそんな事を言ってると、しのぶが前からやってきた。
「あ、しのぶちゃん、こんにちは」
「おお、これはめちる殿!今日は珍しく外に出ているのでござるか?」
しのぶがそう言うとみちるの額に怒りの四つ角が出来る。
「しのぶちゃん、めちるじゃなくてみちるです…」
「え?ああ!す、すまぬでござる!」
「いえ、別にいいですよ…」
みちるはそう言うとしょんぼりしながら歩いていった。

みちるがしばらく歩いていると今度はちかげがやってきた。
「あ、ちかげちゃん」
「あら、さりちるさん、外に出て大丈夫なんですの?」
それを聞くとみちるの額に再び怒りの四つ角が出来る。
「私はみちるです!」
「あ、ごめんなさいですの。私とした事がうっかり…」
「はぁ…いいですよ、別に…」
みちるはさらにしょんぼりして歩いていった。

さらにしばらく歩いていると今度はりんがやってきた。
「あ、りんちゃん…」
「おお!み…みげる、だったけか?」
りんがそう言った瞬間、みちるは目に涙を浮かべて顔を真っ赤にして叫んだ。
「私の名前はみちるですーーーーー!」
「うおっ!?」
そしてみちるは走り去っていった。

行人は背負っている籠に野菜を入れて、一人で川のそばを歩いていた。
「ふぅ、しかし相変わらず大きいなぁ、この島の野菜は…ん?」
行人は座りながら川に石ころを投げているみちるを見つけた。
「はぁ…」
「どうしたんですか?みちるさん」
「あ、行人クン…」
みちるは一度行人の方を向いたが、すぐ川に視線を戻した。
「行人クン、私って…皆にとってどうでもいい存在なんでしょうか?」
「え?」
「だって皆、私の名前をちゃんと覚えてくれないし、気づいてもらえない時もあるんですよ…」
みちるはそう言ってまた川に石ころを投げる。
「今日だって…散歩をしていて私の名前をちゃんと呼んでくれた人はいませんでした…」
「みちるさん…」
「昔は皆と結構遊んだんです…だけど皆と接する機会が少なくて…やっぱり忘れられちゃうんでしょうか?」
みちるはそう言うとうつむいてしまった。

行人は野菜を入れた籠を下ろすと、みちるの横に座った。
「そんな事ないと思いますよ。皆、みちるさんの事をどうでもいいなんて思ってませんよ」
「…そうでしょうか?」
みちるは顔を上げて行人の方を見る。
「はい、皆、みちるさんに結構感謝していますよ」
「例えば、何ですか?」
「例えば、この前棟梁さん達の怪我を診てくれた事をりんが…」
「そのりんちゃんにさっき名前を間違われたんです…」
「う…」
行人はそう言われると一瞬気まずそうに口を閉じたが、すぐに口を開いた。
「けど、りんがみちるさんの事をどうでもいいだなんて思ってるはずありません」
「でも…」
「それともみちるさんはりんがそんなに薄情な人だと思ってるの?」
「それは…」
「他の皆だって、みちるさんがどうでもいいなんて思ってないと思いますよ。それに…」
行人はみちるの方をじっと見ながら言った。
「僕だってみちるさんの事、どうでもいいだなんて思ってないですし…」
「え?」
「島に流されたばかりの頃はお世話になったし、富士山に連れて行かれた時は助けようとしてくれたじゃないですか。
 だから僕はみちるさんにすごく感謝してますよ」
「行人クン…」

行人は川の方を向くと、そばにあった石ころを川に放り投げた。
「皆、みちるさんの事を大切に思ってるはずです。だからそんなに心配しなくても大丈夫ですよ」
「……そう、ですね」
みちるは行人の肩に頭を乗せると、目を瞑った。
「み、みちるさん?」
「ありがとうございます、行人クン…」
「え?」
「そうやって励ましてくれたの、行人クンだけだったから…」
「みちるさん…」
行人がみちるの方を向いた瞬間、彼女は行人の唇と自分の唇を重ねた。
しばらくして離れるとみちるは熱っぽい目で行人を見つめていた。
「行人クン、またあなたの温もりを私に与えてくれませんか?」
みちるは頬を染めながら目を瞑る。
「…うん」
そして行人も目を瞑り、今度は行人から唇を重ねた。
二人はそのまま行人がみちるの上に覆いかぶさるようにして倒れこんだ。
二人は舌を絡ませ、唾液がみちるの口から零れていく。
「ん、はぁっ…」
「むぅ、ん…」
行人は舌を絡ませながら、右手をみちるの胸へと移していく。
「んんっ…」
行人は胸を掴むと、強弱をつけながら揉みしだく。

「ふっ、んっ…」
みちるの口から舌が絡む音と熱を帯びた吐息が漏れる。
すると行人は一旦みちるから唇を離す。
「みちるさん、固くなってるね、ここ」
そう言うと行人はみちるの乳首を服の上から押すように触れる。
「んぅっ!行人ク…んむっ」
行人はみちるの口を再び塞ぎ、舌を絡ませる。
そして今度は彼女の乳首を押すようにして攻め始める。
「んんんっ!んぅ〜っ!」
みちるは潤んだ瞳で行人の方を見つめるが、行人はそれに構わずみちるを攻め続ける。
「ん、むぅ…ふぁ…」
行人は左手で乳首を攻めながら、右手を移動させて太股を撫で始めた。
「はぁっ…ん、ちゅ…」
行人の右手はみちるのスカートの中に入り込み、下着越しに秘所に触れる。
「んむっ!?んんっ!」
行人は再びみちるから唇を離すと、二人の間に唾液の糸が出来る。
「もう濡れてるね、みちるさんのここ…」
行人は下からゆっくりみちるのそこを撫で上げる。
「ふぁっ!…行人…クン…」
行人はまたみちると舌を絡ませ始め、左手で乳首、右手で秘所を攻める。

「はっ、んっ…むぅっ!」
行人は下着の上からクリトリスを押し撫でるように刺激する。
「んんっ!んむぅ〜っ!」
みちるは刺激に耐えられず、両手で行人の服をぎゅっと掴む。
行人はさらに左手で乳首を攻め、右手を下着の中に潜りこませる。
そして中指をみちるの中に入れ、親指でクリトリスを押し撫でる。
「ん〜っ!ふぁっ!むぅっ!」
行人はさらに人差し指も中に入れ、中指と一緒にみちるの中をかき混ぜる。
淫らな水音とみちるの喘ぎ声が混ざり合い、大きくなっていく。
「んぅぅっ!ふぁ、行人…クン、んむぅっ!はぁっ!私、もう…むぅっ!」
行人はみちるの言葉を聞くと、より激しくみちるを刺激していく。
「んんーーーーっ!」
みちるは絶頂を迎え、行人の指を締め付け、彼の服を引っ張りながら体を硬直させる。
そしてみちるの体から力が抜けると、行人は彼女の中から指を引き抜き、唇を離した。
みちるは瞳を潤ませ、行人の顔をじっと見つめる。
「行人…クン…もっと…行人クンを…ください…」
「みちるさん…」
行人はそう言うとみちるの下着に手をかけ、それを脱がした。
下着はすでにぐしょぐしょに濡れており、みちるの秘所と下着の間に一瞬、愛液の糸が引いた。

行人はズボンから大きく硬くなったものを取り出し、彼女の秘所にそれを当てる。
「行くよ、みちるさん」
そう言うと行人はみちるの中に自身を入れる。
「んぁぁぁぁぁっ!」
行人は腰を動かし、みちるの奥を突く。
「んっ!行人、クンッ!私の、私の名前を、呼んでくださいっ!」
「くっ、みちるさんっ!」
「んぅぅっ!もう、一度!」
「みちる…さん!」
「もっと、もっとお願いしますっ!」
「はっ!みちる…さん!みちるさん!」
「行人クン!行人クンッ!」
二人はお互いの名前を呼び合いながら腰の動きを激しくしていく。
「みちるさん!みちるさん!」
「ふぁぁぁぁっ!行人クンッ!」
行人が一気に奥まで突くと、みちるは体を大きく仰け反らせ、行人を締め付ける。
「んぁぁぁぁぁぁっ!」
「くぅぅっ!みちるさんっ!」
行人も限界を迎え、みちるの中に熱いものを注ぎ込む。
やがて二人は脱力し、行人はみちるに覆いかぶさるように倒れた。
するとみちるは行人にぎゅっと抱きついてきた。
「行人クン…もう一度、名前を…」
「みちるさん…」
みちるは名前を呼ばれると、抱きつく力を強くする。

「もう一度…」
「…みちるさん」
「……はい」
みちるはそう言うと頬を染め、さらに抱きつく力を強くした。

夕日が沈んでいく中、行人とみちるは並んで歩いていた。
みちるはどこか幸せな表情で行人を見つめている。
すると前方から何人かが二人の方に走ってきた。
「いたいた!お〜い!」
「あれ?みんな…」
やって来たのは、みちるの名前を間違えた三人とすずだった。
「どうしたの?」
「いや、み…みちるに謝ろうと思ってさ…」
「え?」
「三人とも、み…みちるちゃんの名前を間違えたのを気にしてね、謝ろうと思って探してたんだって」
すずは三人の方を見ながらそう説明した。
「けど何ですずちゃんまで…」
「いや、事情を話したら手伝うって言ってくれてさ」
りんがそう言うとしのぶがみちるの前に出てきた。
「み…みちる殿、これはお詫びのしるしでござる!」
そう言うとしのぶはある紙切れをみちるに手渡した。

「え〜っと…『師匠になでなでしてもらう券』?」
「うむ!」
「は?」
それを聞くと行人はみちるの持ってる紙を見て、しのぶの方を向いた。
「これ、誰が作ったの?」
「拙者でござる」
「僕、聞いてないんだけど」
「む…ダ、ダメでござるか?」
行人はそう聞かれるとみちるの方を見る。
みちるは券を目を輝かせながら見ていた。
「…はぁ、仕方がないなぁ…」
「いいのでござるか?」
「う…まぁ、うん…」
「では早速!」
そう言うとしのぶは行人に券を渡す。
「何?」
「なでなでして欲しいでござ…」
行人はしのぶが全部言う前にしのぶにチョップを喰らわせた。
「調子に乗るな」
すると今度はちかげがみちるの前に出てきた。

「み…み…みちるちゃん、私からはこれを」
そう言うとちかげはみちるに持っていた風呂敷を渡す。
「これは?」
「『なーす』服ですの」
「茄子服…ですか?」
「いえ、なーす服です。看病とかをする時、女の人はこの服を着るらしいですの」
「へぇ…」
みちるは不思議そうに渡された風呂敷を見る。
(ちかげさんの説明、外れてないとは思うけど引っかかるなぁ…)
そして最後にりんがみちるの前に出てくる。
「あたいからはこれだ」
「……これは?」
りんが渡した物はよく分からない道具類だった。
「いや、薬の調合とかに使う道具なんだけど…」
「…お気持ちだけ受け取っておきます」
「う……」
すると行人はみちるの肩に手を置いた。
「ほら、皆、みちるさんの事を大切に思ってるでしょ」
「………はい!」
みちるは満面の笑みでそう答えた。
「さ、早く帰ろ!行人とみてるちゃんも!」
「みちるです!」