今は朝の10時。
本来なら学校で授業を受けている時間だろう。
「ふっふっふっふっ」
今でも笑いが込み上がってきてしまう。
「ざまあみろ!!学校の男共!!そしてさらばだクソ親父ー!!!。はーはっはっはっはっはっ!!」
僕の名前は、東方院行人(14)。
今は大きな船に乗って、優雅なお出かけ中だ。
え?なんで学校に行かないのかって?
それは………家出中だからだぁ!!。
(バァー――――ン)注 効果音
「あぁ………空が青青いなぁ……」
そんな事を言いながら僕はのんびりと空をみる。
…………ん?
「あれ?あれれ?」
僕は隣に置いておいた黒い「バッグ」が無くなっていたことに気づく。
「ん〜誰かが間違えて持って行っちゃったのかなぁ?」
そんな事を考えて辺りをキョロキョロ見回していると、後ろから声をかけられた。「そこの坊主」
僕の背中に冷や汗が流れる。
…………ぼ、僕は坊主って名前じゃないから……
「東の坊ちゃん!」
………………ヤバい………洒落になってない。
振り向いたらヤられる。
だが、後ろのヤクザは僕の肩をつかみ後ろを向かせる。正面から見ると明らかにヤクザだった。
上から下まで真っ黒なスーツを着ていて、黒いサングラスまでかけていた。

「あ………あ、あの……」
「このバッグはお前のだろう?」
「え?」
僕は今頃になってヤクザの右腕に僕のバッグを持っている事に気づいた。
「あ!?そ、そうです!それは………僕のバッグ………です……」
相手が一般人ならこうまでオドオドしないのだが、相手がヤクザなら話が別だ。
これなら学校の男共を相手に木刀を振るっていた方が遥かにましだ。
「大切な物なんだろう?大切ならちゃんと持っておけ」
黒い人は僕にバッグを差し出してくる。
「へ?えっと、は、はい……ありがとうございます……」
親切なのが逆に怖かった。
黒い人はいつの間にか僕の隣に立ち、手すりに背を預けていた。
「まったく………最近の若い奴は礼儀ってやつを知らねぇな」
懐からタバコを取り出して、ブツブツと呟いている。
僕は知らんぷりをして、バッグを背中にしょう。
だがバッグは持って行かれる前と比べてかなり重くなっていた。
そして僕はそのままバランスを崩して………
「うわぁぁぁぁぁ―――――!!!!!」
ドッボーーン!!!
「坊主?!」

僕は真っ逆様に海へダイブしてしまった。
「お、おじさん!、うわっぷ……何か…………ごぽぽ……投げ………て…ぶくぶくぶく……」
ヤバい………死ぬかもしんない…。
そんな事を考えていると不意に何かが僕めがけて降ってた。
バシャーーーン!!。
「誰のバッグかは知らねぇが使わせてもらえ!!」
嗚呼…………人は見かけによらないな………でも……。
「せめて浮き輪を投げてくださいよぉぉぉ!!!
「え、あぁ………それまで浮かんでろよ!」
黒い人はどこかへ駆け出して行きました。恐らく僕のために、浮き輪などを取りに行ってくれたんだろう。
「ぷはぁ…………って…………あれ?このバッグって……」
今、僕の命を支えているバッグには、東方院と大きく書かれていた。
「じゃ、じゃあこのバッグって誰の?」
後ろに背負っているバッグを、降ろして確認しようとしてみると、目の前に浮き輪がある事に気づいた。
「あ?!浮き輪だ!!ありがとうおじ…………」
投げてくれたおじさんにお礼を言おうとしても、すでに船は僕を置いて進んでいってしまった。
「…………………」
僕は呆然としてその船を見送っていた。こうして、僕の長い長い漂流生活が始まった。


漂流生活から5日が過ぎた。
朦朧とする意識の中で僕は家出する原因を思い出していた。
(属に言う走馬灯である)

「ごめん、お兄ちゃん!来月まで待って!」妹の美咲が僕の目の前で頭を下げている。
理由は今月返す予定のお金をうっかり使い込んでしまったのだ。
「え〜今週返すって言ってたじゃん!」
さすがにお金の事は、厳しくしなければいけないと思い強く言う。
「うぅ〜ごめんなさい、お兄ちゃん…………」
美咲は今にも泣いてしまいそうだ。
「う………」
だが僕はそのあまりの可愛さについクラっときてしまう。
「ん〜〜〜でも今月欲しいゲームがあるからなぁ……」
「ごめんね私のせいで………そうだ!お金の事以外ならなんでもしてあげるよ!」
「へ〜…………そうか〜〜何でもかぁ〜」 「うん!私に出来る事ならなんでも言ってよ!」
この瞬間、僕の鬼畜精神がフル活動する。
「じゃあ夜に僕の部屋へ来てよ」
「へ?別にいいけど?」
美咲は何の疑いもなく僕の言うことを聞く。
「じゃあ待ってるから」
「うん」
ふふふふふ…………夜が楽しみだな。
その時の僕の頭の中は美咲をどう弄ぶかでいっぱいだった。
そしてその夜………

「お兄ちゃん………?」
「やあ美咲…………待ってたよ」
僕は笑顔で美咲を出迎える。
どうやら美咲はお風呂に入っていたらしく、頬が火照り可愛らしいパジャマを着ていた。
「美咲ちょっと近くに来てくれないかな?」「う、うん」
甘い声で誘うとちょっと戸惑惑ったみたいだが、すぐに僕の言うことに従う。
「何?お兄ちゃ――――んんぅ!!」
僕は何の忠告もなく美咲の唇を奪う。
美咲の腰に手を回し、頭をホールドして外せないようにする。
美咲は少し抵抗する素振りを見せた後、目を瞑る。
僕はそのまま舌を美咲の口の中へ入れ、ゆっくりと口の中全体を愛撫する。
最初は目を見開き驚いて固まっていたものの、次第に美咲からも舌を絡ませてきた。
「ん、ちゅ、くちゅ、…………ちゅぱ、んちゅ」
そしてゆっくりと唇を離すと、僕と美咲の唇からは銀色の橋が出来ていた。
「お兄………ちゃん……」
美咲はトロンとした目で僕を見ている。この状態になった女は、魔法の言葉のたった一言で堕ちる。
「美咲………好きだ……愛してる…」
今まで29人の女が堕ちた言葉だ。
恐らく美咲もこの一言で堕ちるであろう。「お兄ちゃん……わ、私も……好きだよ……」
堕ちた……。
僕は心の中でほくそ笑んだ。