注)オリジナル&厨ニ設定あり

やぁみんな。俺の名は行人。東方院行人。東方院家の跡継ぎだ。
そんな俺だが、今現在絶賛遭難中だ。

そうなんですか? そうなんです

…コホン。さて、俺が遭難している理由だが…ぶっちゃけ家出だったりする。

俺の家は、『なんちゃら四方一派』とかいう流派で、ウチの他に、西方院、北方院、南方院の3つの分家がある。
俺の東方院家は、主に剣を使う流派だ。
それもただの剣術じゃない。皆伝になった人間は、銃器で武装した1中隊に圧勝できるわ、戦車を装甲ごと真っ二つにするわ、月○天○みたいなものをブッ放すわ…
実際、師範や師範代のクラスとなると、『ホントに人間かっ!?』と言いたくなるような動きをする。どこぞの古流剣術も真っ青だ。

南方院は拳を使う流派だ。
この家も化物じみている。なにせ、素手で大木をへし折るのは当たり前。1mくらいの厚さの鉄板を正拳突きで貫通させるわ、100mくらいなら水の上を走れるわ、おまけにか○は○派じみたものを打ち出すわで、『ドコの野菜人だ』とツッコミたくなる。

西方院は、暗部の一派。言い方を変えれば、『忍』の流派らしい。
言うまでもなくこの家も人外だ。マッチもライターも使わずに炎を吐き出すわ、雲一つない晴天で雷を落とすわ。一番驚いたのは分身の術だ。それぞれが別の動きをする分身の術なんぞ聞いたことがない。
また、毒や薬、西洋医学にも通じた一派であるらしい。小さい頃は、怪我をしたときにはよく診てもらったものだ。

そして北方院は…なんていうか、もうSFの世界だった。
魔法とか陰陽術とか、もう質量保存やエネルギー保存や相対性理論の法則に、真っ向からケンカ売ってるとしか思えない。過去の偉人を鼻で笑うような連中だ。
召喚魔法で本物のドラゴンが出て気は時にはひっくり返った。しかもその日の晩飯のおかずが『ドラゴンのステーキ』…
いやもう、ホントかんべんして欲しかった。

とまあ、自他共に認める人外四家だが、元々は一つの家だったらしい。
何でも開祖のオッサンが、『4門の流派を持って我が一族とするっ!!』とか言い出したそうで、四つで一つの家系あつかいだったそうだ。
まあぶっちゃけ親戚みたいなもんだ。実際、それぞれの家の連中とは仲がよく、幼い頃は妹も含めて、よく子供達で一緒に遊んでいた。
では、なぜ俺が家出なんぞ決行したのか?理由は簡単だ。クソジj…俺の祖父が、『それぞれの家の娘全員を俺に嫁がせる』とかヌかしやがったのだ。
この21世紀に、政略結婚なんぞ時代錯誤も甚だしい。大体重婚は犯罪なんだぞ?
いやまあ、みんな美人であったり可愛かったりするし、幼い頃からの付き合いで気心知れた仲だし、俺に対してそれなりに好意を持ってくれているのはわかる。わかるのだが…

「勘弁してくれ…」

皆一筋縄ではいかない性格であったりするのだ。

北方院の一人娘の若菜は、某魔砲少女に勝るとも劣らない物騒な性格だし(実際言葉より先に手や足が出る)、西方院の双子の白鷺と黒鶴は、方や天然ドジッ娘(致命的)、方やマッドサイエンティスト(某トランプの仮面戦士の変身システムを本当に作り上げた)だし。
南方院の茜に至ってはまだ小○生だぞ…
おまけに、俺の妹である美咲も、俺の嫁にするとか言い出しやがった。冗談じゃない。美咲は妹だぞ。確かに血は繋がってないが、妹は妹。それ以上でも以下でもない。
ってなわけで、自分を取り巻く環境に嫌気がさした俺は、『こんな所にいられるか!俺は逃げるぞ!』と言わんばかりに家出したのだ。

「しっかし…さすがにこれは予想外だな…まさか乗っていた船から投げ出されるとは…」

おまけに天気も悪くなってきやがった。

「…俺死ぬんじゃね?」

黒一色に染まって行く空と、身体に降りかかる冷たいものを感じながら、

「あぁ…死ぬ前に○○堂のヘル&ヘブンパフェ食べたかったなぁ…」

ふと、そんなことを考えた。