始まりは唐突だった。

『おのこと番て子を為せ』

神託を受けた真の海龍神社の主であるやしろは、少しだけ困惑した。
物心付いた頃から巫女として非常に高い素養を持ち、齢64歳に至るまで龍神に仕え続けてきた。
しかしこの様な神託は初めてである。やしろの戸惑いも尤もな事だった。
だが神託を受けたからには、巫女として応えなくてはならない。
神託を受けたやしろが始めに行った事は、島の現状を洩れなく知る事。
具体的に神託が何を求めているかを知る事からだった。
自らが律する式神を総動員して情報を収集した結果。
おおまかであるが龍神が何を求めているかを理解した。

最近になって本島へ流れ着いた現状で唯一の男、行人と言う名の少年と番って子を為せという事だった。

行人という少年は難儀な存在だった。
14歳という性欲が旺盛な年頃だというのに、同年代の少女達に全く性的な興味を見せなかった。
単に奥手とか初心であるとかではない。視覚的、直接的にな接触に行人の男は何ら反応を見せなかったのだ。
マラが立たねば男と女は交われないし、精を放って子作りをする事も出来ない。
少女達で駄目なら母親達と、それでも駄目ならオババ様。
何れにも行人は全く反応しなかった。最後のオババ様に至ってはこの世の終わりのような叫び声を上げて島の反対側まで逃げている。
島民主導の婿選び、そして島の存続をかけた子作り事業は完全に頓挫してしまっている。

やしろは皺が寄った眉間を揉んだ後、本殿に置かれた机に突っ伏した。
確かにこれは大津波以来の島に訪れた危機かもしれない。
次に子作り可能な男が漂着してくる可能性は正しく奇跡か神頼みだ。
そして行人は子作りできない種なしと来ている。希望が目の前にあるのに全く活かせない。
島民達のまさに上げて落とされた絶望はいかばかりにだ。

しかし、とやしろは首を捻った。

どうして自分が指定されたのかと。その種なしの少年と番え等と。
自分の容姿は64歳という更年期を超えた年齢でありながら、十代前半の乙女と相違ない。
彼女の体内を循環する膨大な気が、肉体の劣化を防ぎ最盛期の状態をずっと保っているのだ。
そしてその美しさや若々しさも全く衰えてない。勿論、子作りも可能だ。
身体は小柄で華奢であるものの、乳と尻の肉付きはなかなかのものである。
行人がまともに女というものに対して反応するのであれば、誘いをかけ子作りに持ち込むのも簡単な筈だ。

しかし、それはあくまで行人が普通の男、であればだ。
第一、自分と瓜二つな孫のまちが積極的に子作りに持ち込もうとあれこれ策動したのにも関わらず、行人の男がいきり立つ事は一度として無かった。
それはまち本人から嘆きの声と共に報告を受けている。

やしろは自分が支配している式神を呼び出しつつこう思った。
まちに全く反応しなかった男に対して自分が番おうとして、それで子作りが成立するのかと。
そもそも、普通に行人がまちに対して男としての反応を見せ、子作りが成立していれば神託は降りずやしろが動くことは無かっただろう。
ならば、自分には行人に対する何らかの可能性があると神託は言っているのであろうか?

ともあれ、まずは彼の少年をこの島に招き、実際に会って見てからだ。

そして式神に連行されてきた行人と海竜島の地下最深部にある海龍神社の本殿で対面したやしろであったが……。
挨拶をする前にいきなり押し倒され、体中の匂いを嗅がれていた。
何が起こったのか解らないという、某フランス人スタンド使いの状態だった。
行人は顔を真っ赤にし、荒い息を吐きながらやしろの肢体に手を這わせ、巫女装束から露出している肌に鼻を寄せて匂いを嗅いでいる。
まさしく変態。やしろを組み敷いている状態からして強姦魔。警察が居れば即座に拘束され留置場に放り込まれる事請け合い。

最初の十秒は驚愕で硬直していたやしろであったが、そこは長年巫女を務め怪奇と戦ってきた身。
冷静さを取り戻し今度は胸元に顔を寄せて胸の谷間に顔を埋めている行人を観察する。
やしろが命令を出せば、即座に待機状態の式神が行人を叩き伏せるなり拘束するなり出来る。
出来るが、やしろがすべき事は行人を不埒者として折檻する事ではない。
行人に女として接し、彼と子供を作ることこそが今の彼女のお務め。
とっかかりが会話すら無く押し倒されまるで力尽くで犯されるような形であっても、行人が自分を女として求めてくる分には都合が良いのだ。

しかし、とやしろは思う。

まるでやりたい盛りの、目の前に雌が居ればまぐわいたくて仕方がない発情期の猿の如し。
これが本島の女達には性的な興奮を覚えなかった少年の姿かと。
何故、ここまで自分に対して興奮し、欲情しているのかと。
疑問は多々あった。多々あったが、やしろがすべき事は子作りである。
行人がその気であるのは明白だ。自分の太股辺りに行人の股が触れているが、服越しに固くなった何かを感じる。
言うまでもなく行人が欲情した事で大きくなった男根。
本島の女総出で勃たせようと躍起になって駄目だったそれが、やしろを求めていきり立っていた。
もし二人が全裸だったら、行人は我慢する事無く濡れてなくとも強引にやしろの中に入ろうとしただろう。

ここまで出来上がっているなら、やしろのすべき事は1つだ。
人は流れに乗ればいいとの格言通り、このまま行人とまぐわい子作りをする。

がっついて来る行人を上手くさばきながら、やしろは巫女装束の裾から小さな丸薬を2つ取りだした。
行人をこの島に呼ぶと決めた時点で調合し用意しておいた特製の媚薬。
口から飲んでも直接陰部に塗り込んでも効果を発揮する優れものである。
唾液で濡らした1つを緋袴の裾から差し入れ、下着の隙間から自分の陰部に押し込む。
押し込んだ瞬間、男とのまぐわいも自慰もしなくなって随分と久しい事を思い出す。膣道に押し込んだ丸薬の異物感が半端無い。
不愉快感とジワジワと溶け出す薬効により陰部が熱が帯びてきた事と異物感に思わず息が漏れる。
裾から抜いた手にもう一つの丸薬を握り締め、自分の口元に宛がい口中に含む。
そして素早く行人の後頭部へ手を回し、行人の唇を素早く奪った。
興奮しきっていた行人が驚いて動きを止めるのも構わず、彼の唇を強引に割って舌を押し込んだ。
やがて行人が舌ででぃーぷきすに応え始めた時に、唾液と共に溶け始めた丸薬を彼の口中へと流し込む。
行人は軽く咽せたが強引に顔をくっつけ、舌で押し込み唇で蓋をする。
咽せる仕草がやがて止まり、行人の喉がゴクリと動くのを軽く手を当てる事でやしろは確認した。

口中で溶かした所為だろうか。
それとも膣内で溶け始めた丸薬の効能だろうか。
やしろの頭はボンヤリとし、身体が熱さを帯びてきた。
軽く下着越しに陰部へと手を当てると既にかなりの湿りが出来ていた。
抵抗しようと思えば出来たし、裾の中にある解毒薬を飲めば媚薬の効果を打ち消す事が出来る。
しかし、そのような必要は無い。折角媚薬で行人が更に猛り、自分もその気になれそうなのだ。
例え好いてない相手でも、巫女としてのお務めであり、島の運命を打開する為に抱かれねばならないのだ。
敢えて媚薬を使用したのも、初対面の男との性交を好き嫌いの有無無しに進行させる為。
強めに作った媚薬によって理性が飛ぶ直前、術で己の巫女装束と少年が来ていた外界の服を擦り取り、横に投げ捨てた。

男にこの様ながっついた求めを受けるのは初めてだと思いながら、猛り狂う行人の下でやしろは静かに溜息を漏らした。

完全に気をやってしまっていたのか、やしろが意識を覚ましたのは3時間後だった。
倦怠感と薬の残り香でぼんやりとする頭で、自分と周りの状況を確認する。

一言で言えば、惨状だった。
床の上で無く畳の上だったので痛みなどはなかったものの、飛び散った体液やらで凄い状態。
特に自分の陰部から流れ出している大量の精液で出来た水溜まりは、まるで自分の臓器が1つ破裂したんではないかと思える位だ。
ここまで凄まじく汚れてしまったら、もう新しい畳に交換して貰った方がいいだろう。
神聖なる日々のお務めを精液の匂いが染みこんだ畳の上で行うだなんて、冒涜以外の何者でもない。
横で転がって寝息を立てている行人と言えば、随分清々しい顔付きだったのでちょっと引っぱたきたくなったが自重する。
幾ら良いように突きまくられ、文字通り溢れかえって逆流する程子種を子宮に注がれたとはいえ、こんな格好は見せたくない。
式神に運ばせた湯と手拭いで身体に付いた体液を拭き取りながら、その凄まじいまでの絶倫具合にやしろは呆れたように溜息をついた。
取り敢えず、湯浴みをしよう。勿論行人も。まずはそれからだ。


更に数時間後、起きた行人がまず最初にやった事は土下座だった。
やしろに出会った瞬間、抑制が効かない位に欲情してしまい襲ってしまったらしい。
混乱と萎縮、罪悪感と後ろめたさが綯い交ぜになった形相で行人は延々と頭を畳に擦り続けた。
どうやら普通の状態、本当で一般生活をしている彼に戻った様だ。
徹底的に性欲を発散させた所為だろうかとやしろは思った。
ついでに行人が萎縮してるのは都合がいいので、彼自身について根掘り葉掘り聞いてみる事にした。
子供が出来るまで付き合う身なのだ。彼がどういう人間であり、どういう性癖の持ち主であるか確認しておく必要がある。

あれこれ聞いてみた所、彼は剣道が得意な普通の少年であったが、性癖については不可思議な点があった。
14歳という年頃で、性欲が旺盛な頃合いであるのに、同世代の異性に対し性欲が湧かなかったというのである。
それはこの島に来てからではなく、元々本土(日本)にいた頃かららしい。
性欲に興味津々な同世代がガールフレンドを求めたり、春画の本で妄想に興じていた頃、彼はそれに加われず悶々としていたという。
巫山戯た友人に渡されたBL(若い男性同士の同性愛)やホモ(成人男性の同性愛)には拒絶感しか湧かなかったし、女性同士にも興奮を覚えず。
男にも女にも性的な意欲が湧かない彼にとって自慰すら出来ない事柄だった。(なんと、精通をやしろの中で迎えたらしい)
それは藍蘭島にたどり着いてからも同じで、同世代のスレンダーやら豊満やらの美少女達からの誘惑も行人にとっては苦痛でしかない。
まるで自分が正常な男でない事を再確認させられているようで、この離れ小島に連れてこられた時は正直ホッとしたそうな。

そしてやしろとの出会い。行人は生まれて初めての異様な衝動に駆られた。
圧縮したバネを解放した時の様に、行人はやしろに女を感じ、性欲を感じた。
外観は桜色を帯びた銀髪である点を除けばまちと同じ筈なのに。
手触りの良さそうな髪を撫でたい。整った顔立ちを間近で眺めたい。
唇を奪いたい、舌を口内に差し入れたい。甘い欲情に満ちた声を聞きたい。
華奢な身体を押し倒したい。服を剥いで白い肢体を余すことなく凝視してみたい。
大きくて形の良い乳房を愛撫したい、吸ってみたい。
陰部を見てみたい、その中に入ってみたい。そして中で思う存分精を放ってみたい。

雄の根幹的な欲望で瞬時に満たされた行人は、やしろの挨拶を聞く前に彼女に飛び掛かり押し倒したのだった……。

洗いざらい告白し、尚も額を畳に付けたままの行人にやしろは頭を上げるようにいう。
気にする事はない。自分が行人をこの島に招いたのは元々この様な事をする為、即ち子作りの為。
過程こそは暴走していたが結果として行人が子作りが出来る事を証明できたのでそんなに謝る必要はないと。
しかし、と尚も何か言いたげな行人を、やしろは手をかざして制す。
何はともあれ、貴方が子作りが可能である事が示された以上、島の存続の為にも自分のお腹に子を仕込んで貰う、と。
私を力尽くで抱こうとした事に罪悪感があるのであれば、子作りに励み神託を成就させる事に協力しなさい。
複雑そうな表情を浮かべる行人を残し、やしろはオババ様に連絡を取る為本殿から去っていった。


行人との交わりで、産まれて初めてやしろは性交でオーガズムを感じた。
乏しい経験と本の知識によりやしろは行人よりも性に関しては先達だった。
だが、乏しいと書いたようにやしろにとって性交というものはあくまで子作りの手段でしかない。
故人であるかつての夫との関係もそうだった。本人が実直な神職の典型の様な人柄である事もそれを助長していた様に覚える。
夫と肌を合わせたのは彼が生きている間で両手の指の回数にすら足りない。
周期を計り狙い定めてまぐわった為にやしろがあっさりと懐妊した事もあるし、夫がそう言った男女の関係に淡泊だったのもある。
セックス、まぐわいはやしろにとって子作りという子孫を残す為の手段の意義を除けば大して重要ではない。
行人と子供を作ると決めた時も、『島を存続させる為の作業』としての意味合いが強かった。

だから、行人の嵐の様な求めはやしろにとってとてつもない衝撃をもたらしたのだ。
彼女の人生で夫と行った営みをたった3時間で超過。
比べものにならない量の濃い子種をやしろの子袋に仕込んだ。
お告げはまだないし周期による確認も次の生理が来ないと解らないが、あれ程に注がれるともう妊娠したのではないかと思えてくる。
周期の日時的には不もなく可もないと言った感じであるが、条件さえ整えば充分に妊娠可能であるとも言えるだろう。

自分のくびれたままのお腹をさすってみる。
行人の求めはひたすらに正常位だった。
性行為の基本形で、男根が女体の奧に届きやすい体型である。
行人がもう少し冷静で所謂エロ本を熟読していれば、別の体位を試したかもしれない。
だが、行人は本能そのもの、雄が雌に子種を注ぐ事だけに集中していた。体位を変える事も考えずひたすら突いていた。
行人の男根は意外な程大きかった。媚薬でボンヤリとした思考の中でも驚愕したのを覚えている。
少なくとも島に男がいた頃の同世代の青少年達よりも太く長かった。大人である夫のと比較しても断然行人の方が大きかった。
やしろの中に入れた途端、三擦り半も保たず精を吐き出した行人の男根であるが勢いは止まらない。
萎える様子も見せず愛液と精液で濡れた秘肉を掻き分けて進み、その圧迫感でやしろが思わず呻き声を洩らした程だ。

お、大きい……!!

夫が踏み込めなかった場所を悠々と通り過ごし、行人の先端は子宮口の小さな穴へと密着した。
その瞬間、やしろの身体がビクリ、ビクリと痙攣した。
押さえ込まれるような体勢の所為で高々と差し上げられた両足の爪先がビクリと引きつる。
やしろ自身も訳が解らなかったが、引きつるような痙攣と共に形容しがたい快感が全身を軽く貫く。
夫の淡泊さと竿の短さ故に開発されてなかった、膣道の奧、やしろの快感のツボとも言うべき場所を行人が強く刺激したのだ。
それがオーガズムと呼ばれる、女が快感に達した事であるのにやしろは気付かなかった。
行人に抱かれた事で己の女の部分、生殖器としての機能ではなく、悦楽に関わる部分が開花した事にも気付かなかった。

海竜島に行人が引き籠もって数ヶ月が流れた。
地下に住む二人を除けば無人島である海竜島は今日も波音以外は静寂そのものだ。
本島の方でも普段通りの生活に戻ったらしい。一部の少女達は未だに傷心を引き摺っているようだが。
興味本位で島に渡ってくるものが居ないかと懸念したが、そもそもこの海竜島は藍蘭島の聖域であり禁足地だ。
島の管理を取り仕切っている海龍神社の許しが無ければ渡航は許されないのだ。
尤も、現在はやしろの娘であるちづるや孫であるまちとあやねも立ち入ってはならぬと厳命されていた。

何しろ、島の存亡を賭けた神託の遂行をやしろは行っているのだ。
主に彼女の寝室で、島唯一の男である行人に組み敷かれ甘い嬌声を挙げていた。
行人の男根によってすっかり使い込まれた女性器であるが、今の状態では行人を受け入れる事は出来ない。
理由は非常に簡単だ。やしろが懐妊したからである。
では、今やしろは何処で行人を受け入れているのか?
答えは肛門。後ろの穴だった。しかも、こちらもしっかり使い込まれていた。

(お尻の穴も使われてしまうだなんて……ああ、これは役目だから。仕方がない事……)

ああ、そうだ。これはお役目、神託をお務めしているに過ぎない。
やしろは期待に満ちた眼で漲った男根が自分の尻穴へスムーズに入っていくのを眺めるのであった。


そしてさらに数ヶ月が経過し、島に待望の声が高らかに鳴り響いた。
大津波後に出来た初めての赤子の鳴き声である。
行人の旺盛な性欲にもめげず、やしろのなかに宿った赤子はスクスクと育ち。
十月十日の後におばばの立ち会いの元この世に生まれ出た。

こうして、やしろのお役目は無事果たされたのである。

 

そして、その後、藍蘭島がどうなったかというと。

産後間もないやしろではどうしても行人の性欲を御する事は出来なかった。
しかし、やしろに負担をかける訳にはいかない。となれば、代役が必要となる。
やしろはこれを期に行人の性欲や性癖に変化が出たかどうかを試す事にした。
上手く行けばお役目を果たせただけでなく、問題の根本的な解決が為されるかもしれないからだ。

そしてその日の夜、どこか緊張した様子のやしろが行人の部屋にやって来た。
言葉少なげに擦り寄ってくるやしろ、行人が戸惑いながらも良いのかと尋ねると彼女はコクリと頷いた。
同意が無ければ産後の事もあり自重してしまうが、相手が許してしまうとホイホイ求めてしまうのが行人である。
手慣れた様子で寝間着を剥ぎ取りやしろの身体を隈無く愛撫する。
やしろはモジモジと顔を赤らめ、明らかに愛撫に対する動揺と困惑を示していた。
何処か新鮮な反応に途惑うが、ご無沙汰故の反応だと思いそのまま進めていった。
取り敢えず禁欲によって溜まりに溜まった分を胎内に注ごうと、良い具合に濡れた穴の入り口に狙いを定め一気に押し込んだ。

「い、痛ぁぁ――――――い!!!」


……やしろは出産後に処女に戻っていた。
……そんな訳はなく、夜這いしてきたやしろは髪の色と肌の色を幻術で誤魔化したまちだった。

行人は驚いた、が、股間の一物の猛りは不思議と収まらなかった。
行人の奇妙な性欲の制限は、いつの間にか解消されてしまっていたのだ。

こうなると、もう止められない止まらないのが若き性欲の盛りである。

その晩も、翌日も行人はまちを抱き続け、男を知らぬ清らかな身体に精液と快楽を染みこませた。
まちの子宮に濃厚な子種を仕込んだ行人は、すっかりと女好きな男に変貌していた。
まちを従え、他の女が居る本島への侵攻を目論んだのである。
その頃には身も心もすっかり行人の女になったまちは行人の言葉に従い、式神を使って彼を本島へと帰還させた。
全身から情欲を猛らせている行人と、その傍でしとやかに寄り添っているまちを見送るやしろは何処か寂しげだったという。

それからの顛末は何というか、爛れきっていた。

本島に帰還した行人は、まず最初に世話になっていた村外れに住んでいるすずの元に向かった。
長く留守にして心配をかけた詫びを入れに……というのは全くをもっての建前。
13歳にしては肉付きが極めて良かったすずの身体は1年近く経ち更に丸みを帯びていた。
村外れというやんちゃをしても問題が発生しない環境、その環境で独り暮らしの熟れた体付きの少女。
真っ当(?)な性欲に目覚めた行人にとって、まさに極上の獲物だった。

そして本島帰還の初夜、行人はまちのアシストを受けすずの初穂を摘み女の部分を押し開いた。
処女膜貫通と種付けが終わった後、暫しまちと戯れた行人は純潔喪失から幾らか回復したすずの身体を充分に堪能した。
やしろによって女の扱いを充分に教え込まれ、まちによって生娘の扱いを修得した行人である。
無垢なすずの身体を良いように玩び、女の悦びを身と心に教え込むのは造作もない事だった。

後はもうドミノ倒し。
姉に先を越されて焦り、様子を見に来たあやねが姉の術によって家の中に引き込まれ行人の女になった。
風呂場の修理の為やって来たりんが、その風呂場で行人によって組み敷かれ啼かされ女になった。
異変に気付いて調査しにきたちかげが、家の戸を開けた途端十本の腕によって引き摺り込まれその後喘ぎ声が夜通し聞こえたそうだ。

そんな感じで、まずはすずの友人達、更にはその友人達の友人達、といった感じで愛欲の連鎖は続いた。
気が付けば一ヶ月足らずで行人が本島で生活していた時に比較的顔をよく合わせていた少女達は軒並み行人の女になっていた。
種なしの少年は、何時しか藍蘭島に君臨する絶倫王になっていたのである。


寝付かした我が子を見やり、やしろはフゥと溜息を吐いた。
己の子が出来た以外は、かつての生活に戻った。戻った筈、だった。
だが、何だろう。彼女の心に何かぽっかりと穴が開いたような感じだった。
喪ったのではない。多分、空いてしまったのだろうとやしろは結論付けていた。

仕事をしようと本殿に向かおうとしたやしろを呼ぶ声がした。
振り向くと行人がこちらを見て手を振っていた。
そう言えば彼には島の結界や警報が反応しないようにしたままだとやしろは気付いた。
どうしたかと問えば、やしろを抱きたくなってちょっと戻ってきたという。
半眼で問い質すと、「色々な女の子とエッチしてきたけど、一番はやっぱりやしろ」との事。
取り敢えず式神で縊り挙げられてもおかしくはない不心得者なお言葉であった。
あったが、やしろは軽く溜息を付いた後で湯浴みをするので自室に行っていて欲しいと行人に告げた。
軽い足取りでやしろの部屋に向かう行人を見やった後、やしろは淫靡な笑顔を浮かべた。

そうだ、まだ、この身体は子作りが出来る。
神託をもっと、もっと勤しまなければならない。
下腹部を軽くさする。お腹の奧がきゅんと鳴ったような気がした。